超流動He中の中空アルミ球を用いた「第5の力」検出器 1988−1989

Stacyらの重力の測定(Nature 292.5820 (1981): 230-232.)に端をはっする物質依存重力、いわゆる「第5の力」の検出をするため、超流動He中の中空アルミ球の運動を観測する実験を提唱し、装置の開発を行った。 Thiebergerなどが、重力源に生じる崖の近くに設置した水中の中空金属球の不審と重心の「第5の力」による不整合から起こると予測される運動を観測し、肯定的結果を発表していた(Physical review letters 58.11 (1987): 1066.)。

非粘性流体である超流動Heを用いることで、「第5の力」が当時発表されていた一連の肯定的結果通りだとすると水などと違い、アルミ球の加速度運動が直接観測されるはずであり、感度および信頼度が増すと考えた。開発した検出器と周囲の低音、真空回路は下図に示す。超高精度薄肉中空アルミ試験球、静かな超流動He槽を実現するための2重He層を持つクライオスタットの低温系、データ読み出し等の開発を経て、試験実験を行った。特に薄肉(0.9mm厚)中空アルミ球の高精度制作、環境バックグランド対策、初期位置制御が克服課題であった。